肌断食で乾燥すると
「ワセリンだけはつけていい」
と思っている人が多いようです。
しかしながら、ワセリンは石油由来の成分のため、「お肌にはよくない」という意見も見られます。
そこでこのページでは、ワセリンについての基本知識から使い方、ワセリンの代わりになる保湿法などについてお伝えします。
肌断食では、ワセリンしか使ってはいけないと思いがちですが、そのようなことはありません。
肌断食研究所代表の私、加藤が解説します!
目次
そもそもワセリンとは
ワセリンとは、石油から精製されたオイル系の成分です。
石油や鉱物油と聞くと拒否反応を示す人がいますが、ワセリンは病院で処方される医薬品もあり、安全性に優れています。
ワセリンは、お肌への刺激が弱く、強力な油の保護膜をつくれる保湿剤です。
オススメのワセリン
ワセリンは、精製度の違いによって分類されます。
- 精製ワセリン(プロペト・サンホワイト)
- 白色ワセリン
- 黄色ワセリン
不純物が多くなるとお肌への刺激が懸念されることから、肌断食研究所では精製ワセリン(プロペト・サンホワイト)か白色ワセリンをオススメしています。
ワセリンのベトベト感が苦手な人は、生成ワセリンのさっぱりタイプ「サンホワイトシルキー」をオススメします。
ワセリンが肌断食でオススメされる理由
ワセリンは、白色ワセリンやプロペトなどが病院でも処方されていることから、安全性の高さが際立ちます。
また、肌断食を広めた第一人者と言える医師の宇津木龍一先生(形成外科・美容皮膚科)が、著書の「肌」の悩みがすべて消えるたった1つの方法で、ワセリンを推奨していることから、肌断食の保湿剤はワセリンという認識が広まりました。
だからといって、どのような肌質でも、どのようなときでもワセリンが最適ではありません。
そこで、ワセリンをつける目的を確認しましょう。
ワセリンをつける目的
肌断食で乾燥を感じる場合、ワセリンをつけることは肌断食研究所もオススメしています。
ワセリンなどの保湿剤の目的は、バリア機能が低下したお肌に強力な被膜をつくることで、お肌を守るためです。
つまり、バリア機能が弱っているときに、人工的にバリアの膜を作り肌を守ることを目的としています。
ワセリンはお肌を守るため
ワセリンは、バリア機能が低下したお肌を外的刺激から「守るため」につけます。
ワセリンでつくった強力な被膜が、外的刺激からお肌を保護してくれるのです。
外的刺激から保護されたお肌は、自然治癒力によって健康で潤った素肌に戻ります。
このように、保湿剤はお肌を守るためにつけますので、高価な美容クリームである必要はありません。
お肌が乾燥していないのであれば、ワセリンなどの保湿剤をつける必要はありません。
「バリア機能が高まってバリア機能だけで肌を守れるなら、ワセリンはつけなくていい」のです。
バリア機能の役割を果たす素肌の保湿成分
ワセリンを正しく使うためにも、バリア機能についてお伝えします。
角質層には、細胞間脂質(セラミド)・天然保湿因子(アミノ酸)という2つの保湿成分が備わっており、この保湿成分がバリア機能としての役割を果たしています。
また、素肌の保湿成分の保湿力は、どれほど高価な化粧品でも足元に及ばないほど優れており、人工的につくられた保湿剤であるスキンケア化粧品では代替えできるものではありません。
このように何重もの優秀な保湿成分がバリアとなって、素肌は守られているのです。
またバリア機能は、次のような役割を果たしています。
- 異物が体内に入ることを防ぐ
- 刺激から肌を守る
- 雑菌から肌を守る
- 紫外線のダメージを防ぐ
- 体内の水分蒸発を防ぐ
素肌の保湿成分は、角質細胞と角質細胞の間を敷き詰めるようにして満たしています。
保湿成分で隙間をなくすことで、外部の異物の侵入を防いでいるのです。
乾燥とはバリア機能が低下した状態
バリア機能とは、素肌の保湿成分で構成されるため、バリア機能が低下した肌とは、素肌の保湿成分が不足している状態になります。
つまり、お肌に乾燥を感じるときは、バリア機能が低下しているのです。
逆に、乾燥を感じない場合は、バリア機能は高い状態を維持できていると考えていいでしょう。
バリア機能が低下した肌は、紫外線でダメージを受けた場合やかゆみを感じる場合もあります。
しかしながら、乾燥がバリア機能のバロメーターと捉えて間違いありませんよ。
バリア機能が低下した時にワセリンを塗る
バリア機能が低下したりバリアが壊れてしまうと、お肌は外的要因から守れなくなり、ダメージを受けたり刺激を感じるようになります。
バリア機能の低下は、肌荒れやニキビ、ときにはアレルギーの原因になってしまうのです。
乾燥を感じた場合などは、バリア機能の低下が疑われますので、ワセリンを塗って、人工的なバリアの膜を作って肌を守ることが有効になります。
つまり、ワセリンは常用するのではなく、バリア機能が低下したとき(乾燥したとき)のみ使うようにしましょう。
ワセリンのメリット
ワセリンには、
- 強力な被膜がお肌を守る
- 刺激が少ない
- お財布にやさしい
などのメリットがあります。
1.強力な被膜がお肌を守る
ワセリンは、非常に強力なオイルであり、肌にしっかりとした被膜をつくります。
そのため、バリア機能が低下したお肌に塗ることで、外的刺激からお肌を守ることに優れています。
2.刺激が少ない
ワセリンは、スキンケア化粧品に使用されているような界面活性剤が入っていません。
そのため、お肌への刺激も少なく、お肌が弱い敏感肌の人でもやさしく使えます。
またワセリンには、アレルギーの心配がほぼないことも安心できる要因です。
3.お財布にやさしい
ワセリンは、数百円から比較的高価なサンホワイトでも千円程度で購入でき、スキンケア化粧品と比べるととても安価です。
そのため肌断食に取り組む人は、「化粧品代が安くなる」と喜ばれます。
ワセリンのデメリット
ワセリンには、デメリットもあります。
- ベトベトした使用感
- 大量につけると落ちにくい
- 毛穴にフタをする
- 毛穴詰まりの懸念
1.ベトベトした使用感
ワセリンは、非常に強力な油分であるため、使用感はベトベトしやすく好みが別れます。
しかしながら、さっぱりタイプのワセリン「サンホワイトシルキー」もありますので、ベタつきが気になる人はこちらを選びましょう。
2.大量につけると落ちにくい
ワセリンを大量につけると、通常の洗顔(石鹸)では落ちないことがしばしば起こります。
ワセリンが落ちないからと言って、クレンジング(メイク落とし)を使用したり洗浄力の強い石鹸や洗顔料を使うと、肌へ負担になるので本末転倒です。
お肌にやさしい環境を維持するためにも、ワセリンは水洗いか石鹸で落とせる量にしましょう。
3.毛穴にフタをする
ワセリンの強力な被膜効果は、毛穴にしっかりとフタをしてしまうデメリットがあります。
毛穴がワセリンでフタをされると皮脂や汗を出せず、代謝ができなくなります。
そのためワセリンは、できるだけ薄く塗りましょう。
4.毛穴詰まりの懸念
角栓ができている人は、ワセリンが角栓と混ざり合うと、毛穴詰まりを助長することがあります。
ワセリンは肌にやさしいといっても、あくまで肌にとっては異物です。
毛穴でお悩みの人は、使用を控えるかできる限り薄く塗ることを心がけましょう。
ワセリンの使い方
ワセリンは、乾燥を感じた時に、「必要最小限の量」をつけるようにします。
具体的には、米粒ほどワセリンを取り、乾燥している箇所に薄く伸ばします。
(ワセリンを手で温めると伸びやすくなる)
肌断食にはワセリンだけはいいと思って、べっとりと塗る人がいますが、毛穴詰まりの原因となりますので厚塗りはしないようにしましょう。
ファンデーション前の下地に
肌断食では、ファンデーションなどのメイクをする場合、パウダーファンデーションを推奨しています。
素肌が潤っていれば、お肌に直接パウダーファンデーションを塗ってもお肌にのりますが、乾燥していると化粧がのりません。
乾燥で化粧がのらない時は、ワセリンを下地として薄くつけます。
また、パウダータイプの日焼け止めも同様で、ワセリンを薄く塗ってからつけるとお肌にのりやすくなります。
就寝前はワセリンをつけずに「夜だけ肌断食」をする
お肌は寝ている間に代謝し、健康な素肌に戻ります。
そのため、夜の時間に毛穴が通っていることが肌断食では何より大切になるため、夜は何もつけない素肌で就寝します。
ワセリンを就寝前につけると、毛穴にフタをすることで代謝を抑制してしまうため、夜はつけてはいけません。
夜の洗顔後に、つっぱり感が気になる場合は、オイルフリーの化粧水(セラミドやアミノ酸程度が入ったシンプルなもの)をはたく程度つけましょう。
オイルフリーの化粧水であれば、毛穴にフタをせず、肌の代謝を阻害しないためです。
素肌の油分は、洗顔後20〜30分ほどすれば出てきますので、夜はなるべく何もつけずに素肌本来の力を引き出しましょう。
ワセリンの代わりになる保湿法
ワセリンを塗って
- かゆみがでる
- ベトベトした使用感を好まない
- ワセリンを必要とするほど乾燥していない
という人は、
- オイルフリーの化粧水
- 馬油
のどちらかをオススメします。
1.オイルフリーの化粧水
「少し乾燥を感じるくらい」の場合は、オイルフリーの化粧水をオススメします。
オイルフリーであれば毛穴にフタをする心配もなく、界面活性剤も使用されていないものがほとんどだからです。
配合成分は、セラミドとアミノ酸が入っている程度のシンプルな化粧水を選びましょう。
2.馬油
「強い乾燥を感じるけど、ワセリンの使い心地が合わない」という場合は、馬油がオススメです。
馬油は、人の皮脂に似ているため肌への負担も少なく、お肌に馴染みやすく使用感にも優れます。
オイルフリーの化粧水(セラミドやアミノ酸程度が入ったシンプルなもの)では乾燥を感じる場合は、馬油を試してみるといいでしょう。
注意点は、馬油と記載されているスキンケア商品の中には、界面活性剤を使用したクリームもありますので、成分を確認して使用しましょう。
【注意】ニキビや脂性肌はワセリンと相性が悪い
ニキビや脂性肌は、オイル系化粧品と相性が悪く、強力な油であるワセリン(馬油)とも相性がよくありません。
ワセリン(馬油)は、ニキビや脂性肌を悪化させる可能性があります。
ニキビは、詰まった毛穴に皮脂が溜まり、アクネ菌などの異常繁殖などの炎症が起こった状態です。
ワセリン(オイル)で毛穴にフタをしてしまうと、毛穴詰まりが解消されず、さらにオイルと皮脂が混ざり合うと炎症に拍車をかけてしまいます。
ニキビや脂性肌に悩む方は、昼も夜もなるべく素肌で過ごすようにしましょう。
また脂漏性皮膚炎も、オイル系の化粧品やワセリンは悪化させる原因となりますので、使用しないことをオススメします。
※ニキビや脂漏性皮膚炎でお悩みの方は、皮膚科専門医にご相談いただくことをオススメします
肌断食はやめたほうがいいという意見について
肌断食はやめたほうがいいと主張するサイト(記事)は、
「ワセリンは美容効果がないから、スキンケア化粧品に頼らないと美しい肌は保てない」
という意見のようですが、実際はまったくの逆で、化粧品で肌にダメージを負い、その結果シミやシワにつながることが多々あります。
また「肌断食は効果なし。むしろ悪化する」という口コミもしばしばありますが、肌断食のやり方が間違っていることがほとんどです。
とくにネット上には、根拠のない情報が溢れていますので、不必要に不安がらないようにしましょう。
まとめ
ワセリンは、乾燥などのバリア機能が低下したときに使います。
乾燥を感じないのであれば、ワセリンを使用する必要はありません。
ワセリンのベトベト感が苦手な人は、生成ワセリンのさっぱりタイプ「サンホワイトシルキー」がオススメ。
使用量は、必要最小限にとどめ、できる限り薄くつけることがポイントです。
- 強力な被膜がお肌を守る
- 刺激が少ない
- お財布にやさしい
- ベトベトした使用感
- 大量につけると落ちにくい
- 毛穴にフタをする
- 毛穴詰まりの懸念
米粒ほどワセリンを取り、乾燥している箇所に薄く伸ばしましょう。
- オイルフリーの化粧水(セラミドやアミノ酸が入っている程度のシンプルなもの)
- 馬油
洗顔後のつっぱり感が気になる場合は、オイルフリーの化粧水を少量付けて就寝しましょう。
しかしながら乾燥を感じるときなどは、ワセリンなどを使用してお肌を守りながら、あなたに合った方法を見つけましょう。
どうしたらいいか迷ったときは、私たち肌断食研究所がサポートしますのでご相談くださいませ。
加藤憲吾
肌断食研究所株式会社
代表取締役
2009年より化粧品業界に入り、肌をきれいにするはずの化粧品が肌トラブルを誘発しているという矛盾に気づく。
2014年12月、「肌断食」を推奨する化粧品ブランドである肌断食研究所(旧プルミエグラン)を設立。
健康な素肌作りには化粧品は必用なく、適切な洗浄のみでいいという考えを確立し、界面活性剤を使用しない美容ソルトの洗顔料「うつくしお(美塩)(旧プルミエグラン)」の販売開始。
詳しくは、運営者情報と運営者ポリシーや、創業秘話を御覧ください。